企業が商品・サービスを促進するためには、「自社商品を買ってくれた顧客はどんな人が多いのか」「顧客はいま何を求めているのか」を把握することが必要不可欠です。
この記事では、CRM(顧客関係管理)の重要性と、そのために必要な5つの顧客分析の手法をご紹介します。
CRM(顧客関係管理)が必要な理由
CRMとは、顧客との関係構築の注目した経営手法のことです。
既存顧客に対してのアプローチ(メール配信・アンケート管理)を最適化し、顧客との関係性を適切に維持するためCRMが利用されます。
CRM(顧客関係管理)が必要な理由には下記が挙げられます。
- LTVの向上
- 口イヤルカスタマーの増加
- 消費者行動の把握
LTVの向上
自社製品やサービスを購入してもらうのはもちろん、アップセル・クロスセルの促進により、顧客単価を高めることも企業成長における重要なポイントです。
しかし、グローバル化により競合他社が乱立し、サービスが多様化が進んだ昨今において、顧客単価・LTVを高めていくことは難易度が高くなっています。
そのため、目にみえる価格面・機能面などではなく、自社に対する信頼度や好感度をアップさせることが、顧客の購買における意思決定の後押しになります。
顧客のニーズを理解し、寄り添うためのツールとしてCRMを導入にする企業が増加傾向にあります。
口イヤルカスタマーの増加
CRMの活用によりロイヤルカスタマーを増やすことが可能です。
例えば顧客の購買履歴から、買い替え時のタイミングで新たな商品を提案する。ライフスタイルの変化に応じて別商品を提案することが可能になります。
また、複数の購買履歴を確認することで、顧客が求めている「インサイト」にまで気づくことができるかもしれません。
顧客に寄り添った提案をすることで、自社から離れにくい顧客の育成にもつながります。
消費者行動の把握
CRMを活用することで、消費者行動の把握につながります。
例えばある商品を購入した後に、別の商品が頻繁に購入されている場合、抱き合わせで販売した方が成約率が高まる可能性があります。
また、消費者行動の手助けになると言われているカスタマージャーニーマップ。顧客の属性と購入した商品とを掛け合わせることで、自社のペルソナ像を洗い出すことにも長けています。
CRMは顧客分析をするのが目的ではなく、その後のマーケティングに役立てられるのが一番のメリットです。
優良顧客分析をするためのCRM手法
CRMで優良顧客を割り出すために知っておくと役立つ分析方法は下記の4つです。
- RFM分析
- デシル分析
- CPM分析
- NPS分析
RFM分析
指標 | 内容 |
最終購入日(Recency) | ・商品を購入した後にどのくらいの期間が経過しているのか表す指標 |
購入頻度(Frequency) | ・顧客が商品を購入した回数を表す指標 |
購入金額(Monetary) | ・顧客の購入金額を表す指標 |
RFM分析とは、顧客を「いつ」「頻度」「購入金額」という3つの基準に沿って整理する手法です。
グループ名 | 内容 |
Aグループ | R:直近1ヶ月以内 F:1年間で4回以上 M:100,000円以上 |
Bグループ | R:直近3ヶ月以内 F:1年間で3回以上 M:50,000円以上 |
Cグループ | R:直近6ヶ月以内 F:1年間で2回以下 M:10,000円以下 |
例えば上記Aグループに所属する顧客は、他のグループよりも「直近の購買日、購買頻度、購入金額」が高いため、自社にとってロイヤルティの高い顧客だと判断できます。
限られたリソースで最大の効果を出すのであれば、対応すべきはAグループだと判断できるでしょう。
企業にとって大切なのは、少ない資源で最大の効果を生み出すことです。
RFM分析は、対応すべき顧客の優先順位を割り出すのに使われます。
デシル分析
デシル分析はRFM分析の「Monetary」に注目した分析方法です。
購買データを元に、全顧客の購入金額を上から順に並べ、10グループに顧客を分類。各グループがどれだけ売上に貢献しているかを割り出すのに活用します。
RFM分析とは違い、自社でグループを定義する必要がないので分類が楽なのがメリットです。
一方、金額のみで比較するため、少額で何度も購入をしてくれているロイヤルティが高い顧客を見逃してしまうのがデメリットです。
CPM分析
CPM(Customer Portfolio Managementの略)は、購入顧客を10個のセグメントに分け、状態に合わせた顧客育成(ナーチャリング)を行うための分析です。
セグメントの基準には下記のようなものを使用します。
- 直近の購入日
- 購入回数
- 購入総額
- 在籍期間
- 離脱期間
RFM分析と似たような指標が多いのが特徴です。
RFM分析との違いは、長期的な視点で顧客を分析している点にあります。
例えば、RFMそれぞれの数字が一緒であっても、長く自社商品を愛用している顧客と、短期間の間に自社のファンになってくれた顧客とでは、前者の方がロイヤルティが高い可能性があります。
上記の2パターンの顧客を別グループとして分類することで、より効果的な施策を打ちやすくなるでしょう。
その一方、CPM分析では顧客を10段階に分類する必要があります。それぞれのグループの定義づけがかなり面倒になるのがデメリットです。
NPS®分析
NPS®(Net Promoter Score)分析とは「あなたはこの商品をどれだけ他の人進めますか?」という質問を顧客へ投げかけ、0〜11段階で回答してもらう方法です。
回答により下記のように顧客を分類できます。
- 推奨者:9〜10
- 中立者:7〜8
- 批判者:0〜6
NSPの計算式=推奨者の割合 – 批判者の割合
一般的なアンケートだと顧客からの「正直な」回答はなかなか得られませんが、上記の質問であれば顧客ロイヤルティが導き出しやすいと言われています。
NPS®のデータをCRMと連動させておくことで、優良顧客を割り出しやすくなります。
優良顧客育成のためのサービス・特典・アプローチ方法
ナーチャリング(顧客育成)に有効なアプローチ方法として、以下の3つが効果的です。
- メール配信・感謝セール
- SNS運用
- ユーザーランクの導入
メール配信・感謝セール
メール配信は、ダイレクトに顧客個人に情報を届けられる通信手段です。
見込み客が好みそうな情報を段階的に届けることで、顧客の興味を惹きつけやすくなります。
新規顧客を優良顧客に育成するアプローチに効果的です。
何度も利用しているからこそ受けられる「感謝セール」のような特典を用意することで、優良顧客の育成に繋がります。
SNS運用
SNSは企業からの情報発信だけではなく、ユーザーからもコメントがもらえるため双方向のコミュニケーションが可能です。
交流を深めることで、顧客は企業に対して親近感を覚えます。
また、普段から関係構築を行うことで、ユーザーの購買決定の際に「あの企業だからまた買おう」と思われやすくなります。
ユーザーランクの導入
ユーザーランクという制度の導入により、顧客ごとの優良継続者を特定可能です。
顧客ごとに割引や報酬などを付与することで、顧客満足度を向上させ顧客の保持を図れます。
優良顧客が離反しないための施策として有効です。
今後 | CRMとファンマーケティングツールの連動がより重要に
SNSや身近な人からの口コミをきっかけに、対象の商品・サービスに関心を持つ場面は増えてきています。
UGC(UserGeneratedContents)によって発信される「消費者のリアルな声」は、商品の魅力を発信してほしい企業にとって重要です。
その一助となるのがファンマーケティング。
ファンマーケティングを活用することで、優良顧客の育成にもつながるでしょう。
また、ファンマーケティングツールをCRMと連動することで、ファンを見つけやすくなります。
弊社ではファンマーケティング・ブランディングを支えるコミュニケーションツールDiscoを提供しております。
今後CRMとの連携を検討されている方は、一度Discoをご覧になってみてくださいね。
まとめ
企業が存続していくには「優良顧客」の育成が重要です。
その手助けとなるのがCRM。CRMを活用することで、顧客分析の精度はより高くなることでしょう。
SNSやコミュニティ内での優良顧客のリアルな発信は、企業が投資する広告より何倍も説得力と宣伝力があります。
今回紹介したCRM手法で自社に合った分析を行い、自社のファン作りにご活用ください。