インターネットの普及や消費者の購買行動の変化などから、新規顧客の獲得はますます難しくなっています。
そこで検討したいのが「ファンマーケティング」です。
新規顧客の獲得だけではなく既存顧客の維持・拡大にもつながるのが特徴です。
本記事では、他社のファンマーケティングの事例を自社に活かすためのポイント3つや成功事例を8つ紹介します。
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ファンマーケティングとは、顧客をファン化して中長期的な売上の向上を目指すマーケティング手法のこと
ファンマーケティングとは、顧客をファン化して中長期的な売上の向上を目的とするマーケティング手法のことです。
ファンマーケティングでは、たとえばSNSやコミュニティ運営を通し特別なサービスやキャンペーン情報の発信することで、ファンとの関係性を強化します。
ファンとなった顧客は商品やサービスを継続的に購入したり、自主的に口コミをSNSで広めたりします。
従来のマーケティング手法と異なり、ファン主体のマーケティングである点がファンマーケティングの特徴です。
「ファン」と似た概念に「ロイヤルカスタマー」がありますが、ファンはロイヤルカスタマーの上をいく存在です。
ロイヤルカスタマーについては以下の記事で解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:ロイヤルカスタマーとは?ファンとの違い、いま向き合うべき理由や5つのファンマーケティング戦略を解説
ファンマーケティングの事例を自社に活かすための3つのポイント
ファンマーケティングはさまざまな業界や業種で行われており、成功事例を公開している企業もあります。
本章では、ファンマーケティングの成功事例を自社に活かす3つのポイントを解説します。
- to C向けか、to B向けかで事例を判断する
- KGIとKPIがどこにあるのか見極める
- 業界|自社との相性を考える
to C向けか、to B向けかで事例を判断する
自社のターゲットがto Cなのかto Bなのかを明確にし、ターゲットに合った事例を参考にすることが重要です。
ファンマーケティングは、顧客をファン化して中長期的な売上の向上を目指すマーケティング手法です。
しかし、顧客の属性やニーズによって、効果的なファンマーケティング手法は異なります。
一般的にto C向けのファンマーケティングで重視されるのは、感情や体験に訴えるようなマーケティング手法です。
一方でto B向けのファンマーケティングでは、価値や成果に訴えるようなマーケティング手法を重視する傾向があります。
KGIとKPIがどこにあるのか見極める
自社のファンマーケティングの目的や現状を分析しKGIとKPIを明確にすることで、他社の事例を効果的に活用できます。
KGI(Key Goal Indicator)は、最終的に目指すゴールを指します。
KPI(Key Performance Indicator)は、目標達成に向けて必要な指標のことです。
たとえば、ファンマーケティングの目標が「売上を10%増やす」であれば、KGIは「売上」であり、KPIは「ファン数」「リピート率」「口コミ数」などとなります。
KGIやKPIについては以下の記事で詳しく解説しています、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:混同しやすいKGI・KPIを、表を用いてシンプルに解説
業界|自社との相性を考える
ファンマーケティングは、さまざまな業界や業種で取り入れられています。
ファンマーケティング事例を参考にする際は、その事例の業界や業種と自社との相性を考えるのが大切です。
ファンマーケティングと相性のよい業界や業種には、以下4つの特徴があります。
- 顧客との接点が多い
- 顧客満足度が高い
- 顧客同士のコミュニティが形成されやすい
- 顧客への付加価値が提供できている
業界や業種が自社と合っているか判断することで、より効果的なファンマーケティング戦略を策定できます。
ファンイベントを活用したファンマーケティングを行う企業の成功事例2選
ファンマーケティング手法のひとつであるファンイベントは、企業のサービスや商品の利用者と交流するために行うイベントです。
本章では、ファンイベントを活用したファンマーケティングを行う企業の事例を2つ紹介します。
- チロルチョコ株式会社
- 株式会社スノーピーク
1.チロルチョコ株式会社
チロルチョコ株式会社は、2022年にリアルファンイベント「チロルフェス」を行っており、来場者数は100名以上だったと発表しています。
3時間弱のイベント内容は以下の通りです。
- ファン同士の自己紹介
- チロルチョコ専用箱のワークショップ
- 試食ありの新商品プレゼン大会
- オリジナルグッズ販売
- イベント限定展示品
ファン同士の自己紹介や新商品プレゼン大会などは、イベントでしかできない体験です。
本事例のように、社員やファン同士が直接交流する機会を設けることで、ファンはブランドへの愛着をより深められます。
2.株式会社スノーピーク
アウトドア用品ブランドの株式会社スノーピークは、社員とファンが共にキャンプを行うイベント「Snow Peak Way」を毎年開催しています。
「Snow Peak Way」自体はポイントカード会員であれば申込可能ですが、上位会員向けには「Snow Peak Way Premium」というイベントが開催されています。
「Snow Peak Way Premium」は、ブラックカード会員以上のユーザーが対象です。
イベントに参加するにはポイントを貯めてカードランクを上げる必要があるため、顧客はこれまで以上にスノーピークの製品やサービスを利用します。
本事例のように、ファン向けのイベントや体験はファンの熱量に合わせて企画するとよいでしょう。
ファンコミュニティ運営によるファンマーケティングを行う企業の成功事例3選
ファンマーケティングの手法のひとつに、ファンコミュニティの運営があります。
ファンコミュニティとは、SNSやネット上で行われる、企業やサービスの利用者同士や利用者と企業が交流する場所です。
本章では、ファンコミュニティ運営によるファンマーケティングを行う企業の成功事例を3つ紹介します。
- Allbirds合同会社
- ベースフード株式会社
- AWS株式会社
1.Allbirds合同会社
Allbirdsは、サンフランシスコ発のD2Cブランドでシューズを中心としたアパレルアイテムを展開している会社です。
Allbirdsは自社でランニングコミュニティ「Sakura Dashers」を運営しており、運営開始1年を迎えた2022年11月までにのべ400人以上のランナーが参加しています。
ランニングコミュニティへの参加費は300円で、参加費用がよりよい環境に向けた取り組みに充てられているのが特徴です。
本事例では、ファンコミュニティ運営を通じてブランドや商品への共感や愛着が高められています。
参考:Sakura Dashers|Allbirds合同会社
2.ベースフード株式会社
ベースフード株式会社は、1食で1日に必要な栄養素の1/3すべてがとれる完全栄養の主食を開発・販売する会社です。
ベースフード株式会社では、BASE FOODの継続コース会員向けのオンラインコミュニティ「BASE FOOD Labo」を運営しています。
2022年3月時点で約1.8万人のユーザーが利用。
ユーザー同士でアレンジレシピの共有や、新商品のアイデア投稿などを行って交流しています。
「BASE FOOD Labo」のプラットフォームであるコミューン株式会社によると、BASE FOOD Laboによって以下のような効果が生まれているといいます。
- LTV(顧客生涯価値)の向上
- 新規顧客獲得
- 解約率の減少
- 商品力・プロモーションの改善
本事例は、以上のような成果からオンラインでのコミュニティ運営で成功している事例です。
3.AWS株式会社
AWSとは、Amazonが提供している100以上のクラウドコンピューティングサービスのことです。
AWSは「JAWS-UG(AWS Users Group-Japan)」という日本ユーザー向けのコミュニティを運営しています。
「JAWS-UG(AWS Users Group-Japan)」では、ボランティアによって勉強会の開催や交流イベントなどが行われています。
このコミュニティを通じて、コミュニティ外にいる潜在顧客に製品の魅力を伝えるコミュニテマーケティング戦略により、AWSは大きく成長しました。
また、ファンになったユーザーのLTV(顧客生涯価値)を向上させることにもつながっています。
AWSユーザーである企業にファンになってもらい成功したBtoBの事例です。
SNSを活用したファンマーケティングを行う企業の成功事例4選
SNSはファンマーケティングにも活用可能です。
本章では、SNSを活用したファンマーケティングを行う企業の成功事例を4つ紹介します。
- スターバックスコーヒージャパン株式会社
- 株式会社吉野家ホールディングス
- 株式会社ドミノ・ピザ・ジャパン
- 株式会社三ヶ島製作所
1.スターバックスコーヒージャパン株式会社
アメリカ発のコーヒーチェーン店スターバックスは、新商品やおすすめ商品の宣伝にSNSを活用しています。
また、ファンによるSNSの情報発信も盛んです。
2023年10月現在、スターバックス公式X(旧Twitter)のフォロワー数は753万人を超えています。
さらに、Instagramでは「#スタバ」という投稿は約930万件にものぼり、SNSを活用したファンマーケティングの成功事例と呼べるでしょう。
ファンをはじめ消費者によるSNSやブログなどへの投稿は、UGC(ユーザー生成コンテンツ)と呼ばれます。
UGCについては以下の記事で詳しく説明しているため、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:UGCとは何か?ユーザー生成コンテンツが重要な理由と施策のヒント
2.株式会社吉野家ホールディングス
牛丼チェーン店でおなじみの吉野家。
Instagramアカウントでは、主に冷凍食品の「おうち吉野家」シリーズを使ったアレンジレシピの紹介が行われています。
アレンジレシピは、ファンである消費者が「#おうち吉野家」のタグをつけて投稿したものです。
また、同Instagramアカウントでは2019年11月~12月には弊社のSNSアカウント運用「SUP」を利用してプレゼントキャンペーンを実施。
フォロー&いいねで冷凍食品をプレゼントするキャンペーンを行い、4,000人のフォロワーを獲得しました。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)やキャンペーンを活用してファンを生み出す、ファンマーケティングの成功事例となっています。
3.株式会社ドミノ・ピザ・ジャパン
デリバリーピザチェーンのドミノピザジャパンは、SNSで発信するコンテンツを工夫して顧客のファン化を促進しています。
たとえば、TikTokではクリエイターの動画を公式アカウントで共有し、ピンポイントデリバリーやお持ち帰り半額™️などのサービスを訴求。
TikTokクリエイターの世界観を活かした動画制作により、サービスの認知・理解を促し、ファンの獲得に成功している事例です。
4.株式会社 三ヶ島製作所
株式会社三ヶ島製作所は、埼玉県に本社がある自転車部品メーカーです。
株式会社三ヶ島製作所では、媒体の強みを活かしたファンマーケティングを行っています。
世界トップクラスの品質を誇る株式会社三ヶ島製作所の自転車用ペダルはグローバル展開もされており、顧客は世界中にいます。
SNSは全世界でユーザー数トップのfacebookを活用しており、投稿の言語は主に英語です。
SNSで世界のユーザー数が最も多いという媒体の特性を生かしたファンマーケティングの成功事例です。
参考:https://www.facebook.com/mkspedal/?ref=page_internal
まとめ
本記事では、ファンマーケティングの事例を自社に活かすためのポイント3つと、手法別のファンマーケティング成功事例を8つ解説しました。
ファンマーケティングの手法にはファンイベントの開催やSNSの活用、ファンコミュニティの運営などがあります。
業界や職種などによって相性が合わない手法もあるため、事例を参考にする際は自社との相性を確認しましょう。
弊社ではブランドのファンづくりをサポートするサービス「DISCO」を提供しています。
ファンコミュニティの運営をお考えの方はぜひ一度ご相談ください。