近年では、SNSアカウントを運用する企業が増え、従業員もSNSアカウントを持っていることがほとんどです。
そのため、SNSのリスクマネジメントを徹底したいと考えている企業も多いでしょう。
本記事では、企業におけるSNSのリスクの種類や対策方法、役立つ資格などについて解説します。
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企業SNSのリスクマネジメントで大切なのは「リスクを防ぐフローの構築」
企業SNSのリスクマネジメントで大切なことは、リスクを防ぐための基盤を構築することです。
たとえば、SNSの運用や利用に関するガイドラインの策定、緊急時の対応フローの策定、従業員への教育徹底などがあげられます。
近年では、SNS投稿による炎上と炎上に伴う信頼の損失が発生しています。
企業や従業員、顧客のSNS投稿が原因でブランドイメージの低下や、売上低迷が生じているのです。
上記の表に従い、問題が発生する前に「対応策」を検討することが大切です。
企業が気をつけるべきSNSのリスク3選
企業におけるSNSのリスクには以下の3つのリスクがあります。
- 不適切な投稿による炎上
- 内部告発・情報漏洩
- ハッキング・乗っ取り
それぞれ解説します。
1.不適切な投稿による炎上
SNSでは炎上を防ぐためにも、見ている人を不快にさせるような不適切な投稿は避けなければなりません。
たとえば、差別的な発言や事実とは異なる内容の投稿などは炎上しやすい傾向があります。
SNSは拡散力があるため、不適切な投稿をしてSNSで炎上した場合はすぐさま情報が広がります。
炎上問題は企業のブランドイメージに影響するため、拡散されれば多くの消費者にマイナスイメージが広がるでしょう。
結果、企業の売上低迷や株価下落を招く可能性があります。
2.内部告発・情報漏洩
SNSは匿名でアカウントが作れるため、内部告発が発生する可能性があります。
匿名のアカウントではリスクの意識が低いため、企業に関する内容を投稿してしまうケースがあるのです。
さらに社用のデバイスでSNSにアクセスできる場合、誤って機密情報を投稿してしまうケースもあります。
内部告発が発生すれば、会社の信頼を左右する問題に発展するかもしれません。
情報が漏れれば会社の信頼が低下し、多額の被害額が発生するでしょう。
3.ハッキング・乗っ取り
ハッキングや乗っ取りは、外部から企業SNSにログインされ、勝手に利用されてしまうことです。
SNSはIDやパスワードがあれば誰でもアクセスできてしまうため、ハッキングや乗っ取りのリスクが高いと言えます。
SNSアカウントが乗っ取られることで、個人情報の流出や誤情報が発信されるだけでなく、SNSから他のシステムに入り込まれてしまうかもしれません。
信頼低下だけでなく、企業のシステム被害にもつながるでしょう。
企業におけるSNSリスクマネジメントの手法
企業がSNSのリスクを避けるためには、どのような対策をすればよいのでしょうか。
ここではリスクマネジメントの手法について以下4つを解説します。
- SNSのガイドラインを策定する
- リスク発生時の緊急対応フローを策定する
- 従業員に対するSNSリスクマネジメント研修を実施する
- 企業が運用するSNSを監視する
関連記事:インスタグラムの企業アカウント 運用・活用方法や成功事例を紹介
SNSのガイドラインを策定する
ガイドラインとは、運用・利用するためのルールのことです。
SNSでのリスクを避けるためのルールを策定しましょう。
ガイドラインは、企業が運用するアカウントのガイドラインと、従業員がプライベートで使っているアカウントのガイドラインの両方を策定するとよいでしょう。
たとえば、1か月に1回のパスワード変更や2段階認証の設定、投稿する前の承認ルート策定、投稿者の権限を誰に持たせるのかなどがあげられます。
個人用のSNSでは、社用のデバイスではアクセスしない、勤務中に投稿しないなどがあげられます。
とくに個人用に関して、ルールを決めてもチェックすることは難しいですが、ルールがあることを周知・徹底することでリスクの発生を抑えられるでしょう。
関連記事:Twitterの代わりに集客できるSNSを徹底解説!効果的な運用方法も紹介!
リスク発生時の緊急対応フローを策定する
ガイドラインを策定してもリスクが発生する可能性はゼロではありません。
そのため、万が一リスクが発生した場合の緊急対応フローも策定することをおすすめします。
たとえば、乗っ取りが発覚した場合は即時アカウント停止、炎上した場合は上司へ報告、事実確認と謝罪に向けた投稿の作成などがあげられます。
また、事前に保険に加入する手もあるでしょう。
SNSは拡散されやすいため、迅速な対応が重要です。
対応に迷っていては更なる拡散と炎上のリスクがあります。
被害が大きい場合、担当者レベルでは対応が困難なケースもありますが、被害を最小限に抑えるためにも、緊急時のフローは決めておくことをおすすめします。
関連記事:自社SNSが炎上!損保ジャパンの「ネット炎上保険」が事故対応後にしてくれる補償内容を解説!
従業員に対するSNSリスクマネジメント研修を実施する
従業員のITリテラシーやモラル向上の研修も、SNSのリスクを防ぐためには重要です。
企業SNSを運用する従業員はもちろん、個人アカウントでもリスクがある旨を認識する必要があります。
近年では、従業員の個人アカウントで投稿した顧客の悪口で炎上したケースや、アルバイトが撮影した店内の動画で炎上したケースもあります。
そのため、SNSの正しい使い方やマナー、リスクの種類や予防の方法を学べる研修を用意しましょう。
企業が運用するSNSを監視する
SNSのリスクを防ぐためには、SNSを監視する方法も有効です。
SNSを監視することで、投稿後に発生する炎上の有無や乗っ取りにいち早く気がつけます。
迅速に対応し、被害を最小限に抑えるために役立つでしょう。
ただし常に監視することは業務上不可能です。
そのため、専門業者に依頼したりモニタリングサービスを利用したりすることがおすすめです。
企業にかかわるSNS炎上事例
今までにSNSが原因でさまざまな企業が被害に遭っています。
ここではSNSで炎上した事例を3件解説します。
- 飲食店アルバイトが投稿した写真・動画の炎上事例
- 寿司チェーン店で撮影された顧客の迷惑行為による炎上事例
- 健康食品のステルスマーケティングによる炎上事例
飲食店アルバイトが投稿した写真・動画の炎上事例
飲食店や食品を取り扱う店舗のアルバイトが投稿した動画で、SNSが炎上した事例が過去に複数件発生しています。
たとえば、コンビニエンスストアのアイスケースにアルバイトが入った写真が投稿されたケースや、おでんの具材を口に含んで吐き出す動画が投稿されたものもあります。
他にも、中華料理店の厨房で、中華鍋から出た火を使ってタバコを吸う動画も炎上しました。
企業ではアルバイトに対して解雇や法的措置を講じていますが、企業の教育不足や管理責任を問う声もありました。
寿司チェーン店で撮影された顧客の迷惑行為による炎上事例
回転寿司チェーン店では、顧客が撮影した動画が原因で炎上した事例があります。
顧客がお店に設置された飲食備品で不適切な行為をする動画を、自身のSNSアカウントで投稿したことが原因です。
企業は投稿した顧客に対し、法的措置を講じる方向で対応しています。
店側や企業のSNS投稿ではないもののイメージダウンは払拭できず、来店者数の減少や株価下落が発生しました。
健康食品のステルスマーケティングによる炎上事例
メディア運営会社が自社で運営するサイトを宣伝するために、従業員自身がアカウントを開設・運用し、サイトを宣伝していた事例です。
運用している従業員が別のSNSの鍵アカウントで投稿したことから発覚し、炎上しました。
発覚後はサイトとアカウントを閉鎖し、事態を収拾しています。
広告であることを隠して宣伝することをステルスマーケティング、ステマといいます。
SNSでの広告出稿や、インフルエンサーにPR依頼する企業も増えており、ステマで炎上するケースも増加傾向です。
SNSリスクマネジメントに役立つ資格一覧
SNSリスクマネジメントに役立つ資格は、「SNSリスクマネジメント検定」と「SNSエキスパート検定」の2つがあります。
業務や役所に合わせて資格を活用してください。
概要 | 役立つ業務 | |
SNSリスクマネジメント検定 | SNS基礎知識や正しい使い方、炎上のリスク対策の習得 | 従業員のモラル向上や、企業SNSの運用やSNSを活用したマーケティング |
SNSエキスパート検定 | <初級>SNS活用に必要な用語や注意点の理解 <上級>SNS活用での目標の立て方やコンテンツの作り方、広告の配信方法などの実務 | 企業SNSの運用やSNSを活用したマーケティング。リスクだけでなく、実務にも役立つ。 |
まとめ
SNSには炎上や情報漏洩、乗っ取りなどのリスクがあり、問題が起これば企業の信頼が失われるだけでなく、売上の低下や株価下落などにも影響を及ぼします。
企業が運用するアカウントに限らず、従業員が個人で所有するアカウントでも注意が必要です。
そのため、ガイドラインの策定や緊急時の対応フロー、従業員への研修などを実施してSNSリスクを防ぐ基盤を構築しましょう。