TwitterやインスタグラムなどのSNSで使われるアンバサダーマーケティング。
企業のマーケティングを担当している方の中には、言葉は聞いたことあるけどどんな手法が詳しく分からないという方もいるかと思います。
またよく聞くインスタグラマーとの違いは何なのでしょうか。
本記事では、アンバサダーマーケティングの概要や利用の背景、見つけ方を分かりやすく解説します。
この記事のまとめ
- アンバサダーマーケティングとは
- マーケティングにおけるアンバサダーとは
- インフルエンサー/アドボケイツなど似ている用語との違い
- アンバサダーの収益の仕組み
- アンバサダーマーケティングのメリット
- アンバサダーマーケティングの難しさ
- アンバサダー選定の方法
- アンバサダーマーケティングの活用事例
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アンバサダーマーケティングとは?
アンバサダーマーケティングとは、企業がロイヤル顧客を「アンバサダー」として任命し、商品やサービスを宣伝、PR発信してもらう施策のことです。
TwitterやインスタグラムなどのSNSの普及に伴い、企業は今までより簡単に顧客とコミュニケーションを取れるようになり、顧客へのPRもしやすくなりました。
一方で、その手軽さから問題になっているのが「広告感の強いPR」です。
Yahooマーケティングソリューションの調査によると、インターネット広告などに対しストレスを感じるという方は全体の7割超。
広告が原因で企業やブランドを嫌いになったというケースは50%を超えており、企業ブランドを傷つける一因にもなっています。
そこで企業が注目しているのがアンバサダーマーケティングです。
アンバサダーマーケティングでは、インフルエンサーのような影響力を持つ人を対象にはしません。
アンバサダーとして選出するのは、あくまでも企業に強いロイヤルティを持つ一般の個人です。
アンバサダーマーケティングを活用することで、広告感・誇張表現を排した自然な顧客の口コミをインターネット上に広げることができます。
関連記事:7割のユーザーが感じている! 広告ストレスをなくすためのヤフーの取り組み
マーケティングにおけるアンバサダーとは?
英語のアンバサダー(ambassador)は、直訳すると「大使、代理人」などの意味がありますが、マーケティングにおいては「企業・ブランドに強いロイヤルティを持った人」のことを指します。
- 自社のプロダクトに対して強い想いを持っている
- 長い間自社製品を使用してくれている
- いちユーザーとして自社商品を使い続けている
アンバサダーの基準は企業により異なりますが、基本的には上記のような基準から採用することが多いです。
企業と連携してブランディングを強化する必要があることから、コミュニケーションが取れる人物である必要があります。
なお、アンバサダーに対しては報酬を支払う場合と、自社商品を報酬の代わりとする場合などもあり、企業によって対応はさまざまです。
ただし「対価がある」ことだけは共通しています。
関連記事:コミュニティにおけるアンバサダーの役割とは?アンバサダー起用の流れや成功事例などを解説
インフルエンサー/アドボケイツなど似ている用語との違い
アンバサダーマーケティングと似ている用語としてインフルエンサーやアドボケイツという言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。
それぞれの意味は、下記のようになります。
▼インフルエンサー
インフルエンサー(influencer)は、influence(影響、勢力)が語源となった言葉で「影響を与える人」を表します。 インスタグラム、Twitter、FacebookなどのSNSにおいてフォロワーが多く、多くの人に影響を与えたり、情報を届けたりする人のこと。 |
▼アドボケイツ
アドボケイツは、Advocacy(支持、擁護)が語源となった単語で、「支持者、擁護者」のこと。 自社商品やサービスを熱狂的に支持して宣伝してくれる人、ファンとも訳される。 |
インフルエンサーがより多くのユーザーに声を届けることに重きを置いている一方で、アンバサダーは企業への想い、ロイヤルティを第一に採用されます。
また、アンバサダーは企業に任命されてから名乗れる一方、アドボケイツは「商品やサービスが好きで誰かに知ってほしい!」という気持ちで活動している人たち全体のことです。
アドボケイツは基本的に、対価として企業からもらえるものはありません。
自社に肯定的なUGCは、アドボケイツから生まれることが多いです。
関連記事:UGCとは何か?ユーザー生成コンテンツが重要な理由と施策のヒント
アンバサダーは報酬なし?アンバサダーの収益の仕組み
アンバサダーは基本的に企業から「対価」を受け取ることができます。
一方で、その報酬が必ずしも「金銭」とは限りません。
例えば作業服や高機能の服で注目を集める株式会社ワークマンは、アンバサダーマーケティングを活用していますが、アンバサダーへの「直接の報酬」はありません。
しかし、アンバサダーが自社商品を紹介しているYouTubeやSNSを店内POPや公式サイトで宣伝を行うことで、ワークマンの店内やサイト内にきた人をアンバサダーのSNSに誘導する仕組みが作られています。
直接の報酬を渡すことで、企業に忖度するアンバサダーが増えることを懸念して、このように間接的な対価を支払うケースが見られます。
アンバサダーマーケティングのメリット
アンバサダーマーケティングを活用するメリットは下記の3つです。
- 熱量の高いファンをアンバサダーにすることでPRの質が担保される
- コアユーザーの意見を近くで聞いて活かせる
- 広告感を出さずに宣伝活動を行える
それぞれ詳しく解説をします。
1:熱量の高いファンをアンバサダーにすることでPRの質が担保される
アンバサダーとして起用するのは、基本的にすでに自社商品やサービスを愛用しているファンです。
熱量の高いファンをアンバサダーにすることで、中長期的にプラスの発信をしてくれるユーザーを確保できます。
例えばアンバサダーがSNSで商品について呟くことで、アンバサダーのフォロワーにも情報が届き、購入に繋がるケースもあります。
ポジティブな意見がネット上に拡散されれば、自社の商品を気になっているユーザーの「買う理由」を後押しできますよ。
自社のSNSアカウントだけでは届けられなかったユーザーにもPRできる点もメリットです。
2:コアユーザーの意見を近くで聞いて活かせる
アンバサダーの起用目的は宣伝だけではありません。
先述の通り、アンバサダーは元々商品のファンだった人を起用するケースが多くあります。
商品のコアユーザーと企業が繋がることで、商品を使用した率直な意見や改善点を聞き出し、商品の改善に活かせる点もメリットです。
3:広告感を出さずに宣伝活動を行える
「売りたい!」という広告感を前面に出した広告を嫌うユーザーは増えています。
アンバサダーマーケティングでは、企業や商品のファンである一般ユーザーが発信を行うため、押し売り感がなく自然に意見が拡散されるメリットがあります。
アンバサダーマーケティングの難しさ
メリットの多いアンバサダーマーケティングですが、運用の際の難しさもあります。
- 効果を実感できるアンバサダーを見つけるのが難しい
- 精力的な運営を行う必要がある
それぞれ具体的に解説します。
効果を実感できるアンバサダーを見つけるのが難しい
アンバサダーマーケティングで最も難しいのが、熱量があり、発信を続けてくれるアンバサダーの発掘です。
曖昧な判断でアンバサダーを決めると、逆に企業や商品のマイナスイメージにつながりかねません。
後ほど紹介するアンバサダーの選定方法を参考にしながら、両者にとってメリットのあるアンバサダーを探すことが重要です。
精力的な運営を行う必要がある
アンバサダーマーケティングは「アンバサダーは決めたから、後はアンバサダーに丸投げ」というスタイルでは、十分な効果は得られず失敗します。
アンバサダーマーケティングに成功している企業は、アンバサダーの選定を慎重に行うだけでなく、その後アンバサダーや自社のファンが参加できるイベントや施策に力を入れています。
アンバサダーと企業が協力して、より良いものを作るイメージで行わなければなりません。
アンバサダー選定の方法|効果的な見つけ方を解説
アンバサダーマーケティングで最も難しいのが、アンバサダーの選定方法です。
効果的にアンバサダーを発掘できる方法を3つご紹介します。
- 公募で探す
- イベントやファンミーティングを通して見つける
- ファンコミュニティーツールから見つける
関連記事:アンバサダーを起用する方法とは?アンバサダーの人選や起用する手順、事例などを解説!
1:公募で探す
大手企業で多いのは、公式サイトや公式SNSでアンバサダーを公募する方法です。
メリットは、熱量の高いファンが集まりやすいこと。
デメリットは、アンバサダーの選定や公募ページの作成など、企業側もある程度リソースを割く必要がある点。
また、報酬目当ての自称「ロイヤルカスタマー」も同時に採用されてしまうリスクがある点です。
なお、企業規模によっては立候補者の母数が少ない場合もありますので注意しましょう。
2:イベントやファンミーティングを通して見つける
企業や商品のイベント、ファンミーティングを通してアンバサダーを見つける方法です。
イベントやファンミーティングに来てくれる人は、ある程度熱量も高く、公募よりも質の高いアンバサダーを探せる点がメリットです。
一方で、商品を愛用してくれるロイヤル顧客がアンバサダー向きの顧客とは限らない点がデメリット。
発信が好きなアンバサダーを見つけ出せるかが鍵となります。
3:ファンコミュニティーツールから見つける
ファンコミュニティーツールを活用したアンバサダーの選定も有力です。
弊社が運用しているDISCOは、コミュニティサイトを構築し、ブランドのファン作りをサポートするサービス。
ファンのエンゲージメントから「ロイヤルカスタマー」と「アンバサダー」向けの顧客を見つけ出すことに優れています。
CRMと連動させることで、顧客を新しい視点から分析できることもファンコミュニティーツールのメリットです。
詳細を確認したいという方は、ぜひ弊社のサービス資料をご覧ください。
アンバサダーマーケティングの活用事例
アンバサダーマーケティングの活用に成功している事例を2つご紹介します。
- ネスレ日本|ネスカフェ
- KIRIN|キリン一番搾り
1:ネスレ日本|ネスカフェ
アンバサダーマーケティングと言って、一番最初に思い浮かぶのがネスレ日本が2014年から行っているネスカフェアンバサダーではないでしょうか。
ネスレ日本では、コーヒーが職場で多く飲まれていることに着目し、アンバサダーの施策を展開しました。
アンバサダー制度を利用し、バリスタマシンをアンバサダーの職場へ提供することで、10万人以上のファンを獲得しています。
アンバサダーになると機器を職場で無料で使えるようになり、1杯約20円のコーヒー代しかかかりません。
テレビや雑誌等のメディアでも大きく宣伝した相乗効果もあり、サービス利用者が増加した事例です。
2:KIRIN|キリン一番搾り
飲料を販売するキリンホールディングスのキリン一番搾りも、アンバサダーマーケティングを活用しています。
アンバサダーの選定方法は毎年異なります。
例えば、クイズとアンケートに答える、写真を投稿するなどが過去の事例です。
アンバサダーになると、KIRINから商品が送られます。
顧客は商品をSNSに投稿するほか、限定イベントに参加し、より商品を楽しむことができます。
アンバサダーマーケティングをうまく活用して新規顧客を獲得しよう
アンバサダーマーケティングは、コストを抑えて宣伝ができるだけでなく、現代の消費者心理に合ったマーケティング手法と言えます。
アンバサダーの選定が何よりも重要ですので、企業イメージに合ったアンバサダーを選び、効果的な宣伝を行いましょう。