RFM分析は最新購入日、購買頻度、購買金額の3つの側面から顧客をグループ分けしてニーズを把握する分析方法です。
顧客データを分析することで「優良顧客」と「その他の顧客」を判別するのに活用します。
この記事ではRFM分析をスプレッドシートで行う方法を画像付きで分かりやすく説明します。
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導入編 | RFM分析の3つの指標を正しく理解しよう
RFM分析とは、顧客データを3つの指標で分類し、顧客をグルーピングする方法です。似たような手法にデシル分析がありますが、デシル分析が「顧客の購入金額」のみに注目するのに対し、RFM分析では「R」「F」「M」という3つの指標に注目して顧客のグルーピングを行います。
- Recency(最新購買日):最新の商品購入日(例:2月28日)
- Frequency(購買頻度):ある期間の購入回数(例:1ヶ月間に4回)
- Monetary(購買金額):購入した総額(例:100,000円)
ただし、上記ではイメージがつきずらいため、それぞれの指標を具体的に確認してみましょう。
Recency(最新購買日)
Recencyは「最近」を意味する英語です。Recencyが表すのは最新購入日。例えば、下記のような3名の顧客がいる場合、最も自社にとって優良顧客と言えそうなのはAになります。
- Aさん:2023年2月28日
- Bさん:2023年1月12日
- Cさん:2022年12月23日
Recencyで顧客をランク分けする際は、ある程度の期間を複数個用意して顧客を分類します。
ランク | 期間 | 来店した顧客 |
3 | 2023年2月1日〜2023年2月28日 | Aさん |
2 | 2023年1月1日〜2023年1月31日 | Bさん |
1 | 2022年12月1日〜2022年12月31日 | Cさん |
期間の決め方は、業種やビジネスの形態によって異なります。
例えば、スーパーマーケットのように1週間に複数回来店するのが当たり前の店では、優良顧客をグルーピングするのに、設定する期間は短くなります。
一方で、半年で使い切る商品やサービスを提供している場合は、スパンを半年以内、1年以内と大きな期間でグルーピングするのが適切と言えるでしょう。
最新購買日を調査する理由は、顧客が現在も自社を利用しているか(アクティブユーザーであるか)を調べられるからです。しばらくの間、購入していない顧客よりも、直近で購入している顧客の方が優良顧客と判断できます。
Frequency(購買頻度)
Frequencyは「頻発」を意味する英語です。転じてRFM分析では、どの程度自社商品を購入してくれているかを表す指標として使われます。例えば1年間の間に商品を購入してくれた回数を下記のようにまとめると、Aさんが最も頻繁に商品を購入してくれていることがわかりました。
- Aさん:1年間の間に12回購入
- Bさん:1年間の間に8回購入
- Cさん:1年間の間に1回購入
この場合、Aさんは自社商品のリピーターと考えられるため、優良顧客だと判断できるでしょう。
Frequencyの項目で顧客をランク分けする際は、下記のように分類できます。
ランク | 1年間の間に商品を購入した回数 | 該当する顧客 |
3 | 10回以上 | Aさん |
2 | 5回〜9回 | Bさん |
1 | 4回以下 | Cさん |
商品を購入した回数は、平均値でとってもいいですし、他に自社で参照しているものがあれば、その回数を敷居値にします。
例えばCRM分析などで、LTVの高い顧客の傾向として15回以上の商品購入数があげられる場合は、ランク1の回数を15回以上にすると、優良顧客を正しく判断できます。
Monetary(購買金額)
Monetaryは「金銭的な」を意味する英語です。RFM分析においては、顧客の購入総額を意味します。
- Aさん:500,000円
- Bさん:250,000円
- Cさん:100,000円
例えば上記の場合は、購入総額の高いAさんが最も評価が高くなります。なお、グループで分類する際は、LTVから算出した値を参考に敷居値を設定するとよいでしょう。
ランク | 購入金額 | 該当する顧客 |
3 | 500,000円以上 | Aさん |
2 | 100,001円〜499,999円 | Bさん |
1 | 100,000円以下 | Cさん |
RFM分析 ー「R」「F」「M」3軸で分類する
RFM分析は3つの指標を組み合わせて分析をする手法です。今まで説明をしてきたR、F、Mの軸を記載することで、下記のように3軸でのグループ分けが可能になります。
グループ | R(最新購買日) | F(購買頻度) | M(購買金額) |
優良顧客 | 2022/01/01~2022/03/31 | 10回以上 | 300,000円以上 |
LTV改善可能 | 2022/04/01~2022/06/30 | 6〜9回 | 299,999円〜150,000円 |
離反対策要 | 2022/07/01~2022/09/30 | 2〜5回 | 149,999〜100,000円 |
新規顧客 | 2022/10/01~2022/12/31 | 1回 | 〜99,999円 |
上記では、顧客グループを4つにわけることができました。RFM分析では、上記のようなグループの枠を作った後に、それぞれの顧客を分類していきます。
マーケティング施策を打つにあたってRFM分析が有効な理由
RFM分析は、以下の理由からマーケティングで有効とされています。
- 優良顧客や顧客離反を可視化して売上向上を目指せる
- ターゲットを絞ったアプローチが可能
優良顧客や顧客離反を可視化して売上向上を目指せる
RFM分析を行うと、顧客の購買行動を多面的に把握できるので、優良顧客を探すのに有効です。最新購買日や購入頻度から、以前は優良顧客だったのに離れてしまった人の可視化もできます。
ターゲットを絞ったアプローチが可能
RFM分析は、顧客をグループ分けする分析法なので、グループごとに的を絞ったアプローチができます。
例えば少ない経営資源しかない場合には、優良顧客だと考えられるグループ。あるいは優良顧客に近いグループに絞って資源を投下することで、効率的にアプローチができるでしょう。
RFM分析を行うにあたり必要なデータ | 事前準備
RFM分析を行うに当たって、必要なデータは以下の4つです。
- 注文商品を識別できるもの
- 購入者(顧客を識別できるもの)
- 購入日
- 購入金額
CRMやSFAを導入している場合にはツールから。導入をしていない場合には、購買履歴を下記のようにスプレッドシート上にまとめ直しておきましょう。
スプレッドシートを使ったRFM分析のやり方をわかりやすく解説
Googleスプレッドシートを使ったRFM分析の方法を紹介します。
手順は下記の通りです。
- 現状の課題を洗い出して仮説を立てる
- ランク分けの基準を決める
- ランク分けを行いスプレッドシート/エクセルでグラフを作成する
1:現状の課題を洗い出して仮説を立てる
RFM分析は自社の課題の解決に役立てる必要があります。例えば、売上が伸び悩んでいる場合には、下記のような理由が考えられます。
- 顧客一人あたりのLTVが低い
- 営業マンが不足している
- 見込顧客を獲得できていない
それぞれにおいて、課題の解決方法は違います。RFM分析は「LTVが低い理由」を細かく分析する手段になるため、自社の課題は何か、RFM分析を実施した結果、経営判断に役立てるのかを基準に考えましょう。
2:ランク分けの基準を決める
RFM分析のR・F・Mは自社の基準によってランクを定義します。
一般的には3〜5段階で決めるのがわかりやすいと言われています。今回は例として、下記のような基準で設定したとしましょう。
ランク | R | F | M |
3 | 12/20以降 | 5回以上 | 200,000円以上 |
2 | 12/10~12/19 | 3回〜4回 | 100,000円以上200,000円未満 |
1 | 12/1~12/9 | 1回のみ | 100,000円未満 |
<例:Aさんの購入履歴>
- R:12/21日に購入:ランク3
- F:3回購入:ランク2
- M:総購入金額130,000円:ランク2
よって、AさんのRFMはそれぞれ(3,2,2)となります。
ランクによって顧客をグループわけできるよう、グループの定義付けもしておきましょう。なおグループの名称は自社で定めて問題ありません。
グループ | Rのランク | Fのランク | Mのランク |
優良顧客 | 3 | 3 | 3 |
LTV改善可能 | 3 | 2以上 | 3 |
離反対策要 | 2以上 | 1以上 | 2以上 |
新規顧客 | 1以上 | 1以上 | 1以上 |
AさんのRFMは(3,2,2)のため「離反顧客」グループに該当することになります。
3:ランク分けを行いスプレッドシート/エクセルでグラフを作成する
ここからはスプレッドシートを使って、R、F、Mの数字をランクに落とし込んでいく作業が始まります。
- データを選択肢ピポットテーブルを作成
- ピポットテーブル上で「行に顧客ID」「列に購入日、顧客ID、購入金額」を入力
- 出力された表をコピーし、別のシートに貼り付け。
元のシートに貼り付け直したとするなら、上記のような状態になっているはずです。
出力された表は、RFM分析の形になっており、先ほど定義した下記の表に従うとランク分けができるようになっています。
ランク | R | F | M |
3 | 12/20以降 | 5回以上 | 200,000円以上 |
2 | 12/10~12/19 | 3回〜4回 | 100,000円以上200,000円未満 |
1 | 12/1~12/9 | 1回のみ | 100,000円未満 |
Vlookup関数などを活用すると、ランクを簡単に入れることができるので便利です。上記の数字が入れば、各顧客を下記の定義に当てはめることができるようになります。
グループ | Rのランク | Fのランク | Mのランク |
優良顧客 | 3 | 3 | 3 |
LTV改善可能 | 3 | 2以上 | 3 |
離反対策要 | 2以上 | 1以上 | 2以上 |
新規顧客 | 1以上 | 1以上 | 1以上 |
例えばUser0001はRFM(3,3,3)となるので優良顧客だと判断できます。
上記の表を使えば、簡単に顧客IDから自社で定義したグループに落とし込めるようになりますよ。
まとめ:RFM分析で顧客データを多方面から可視化しよう
RFM分析は、3つの軸で多面的に顧客の購買行動を分析でき、それぞれの層により効果的な施策を打ち出すのに有効です。
はじめは少し難しいですが、マーケティング初心者でもスプレッドシートでRFM分析が可能になります。今回ご紹介した方法でRFM分析を行い、売上アップや顧客満足度の向上に繋げてください。