パーパスという言葉が以前から注目されておりますが、具体的な定義や方法については詳しく知らないという方も少なくないでしょう。
パーパスとは「企業の存在意義」にかかわる概念です。
また、パーパスは「ミッション」「ビジョン」「バリュー」などの用語と混同される場合があります。
そこで、今回はパーパスの意味、他の用語との違い、派生用語について解説します。
有名企業のパーパス例なども解説しているので、あわせて参考にしてください。
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パーパスとは?意味・定義
パーパスは「何のために企業は存在するのか」を指し示すものです。
企業の根本的な存在意義や、全体の指針を表すものであり、企業経営においては重要な概念です。
パーパスを定めておくと、経営判断のスピード、従業員のモチベーションなど、さまざまな観点で良い影響を与えるでしょう。
またパーパスは、「これから企業ブランディングを推進したい」と考えている企業にとっては必須の考え方といえます。
パーパスと「ミッション」「ビジョン」「バリュー」「クレド」の違い
パーパスと混同して考えられることが多い概念として「ミッション」「ビジョン」「バリュー」「クレド」が挙げられます。
以下の表で意味をまとめました。
概念 | 意味 |
ミッション | ・企業が果たすべき使命例:わかりやすいソリューションを提供する |
ビジョン | ・将来的に目指すべき姿を指す例:業界でNo.1の不動産企業になる! |
バリュー | ・組織が全体で持ち合わせている共通した価値観例:お客様目線で考える |
クレド | ・企業全体の従業員が持つ信条や行動指針例:常に現状に満足せずに改善を繰り返す |
上記4つと比べると、パーパスは「在り方」という根底の概念です。
パーパスを含めて、いずれも企業になくてはならない考え方なので、必ず押さえておきましょう。
パーパスの派生用語一覧
パーパスの発生用語として、以下の4つが挙げられます。
- パーパス経営
- パーパスドリブン
- パーパスブランディング
- パーパスステートメント
それぞれ意味や用法が異なるため、パーパスを策定する前に押さえておきましょう。
パーパス経営
パーパス経営とは、パーパスを軸とした会社経営を指します。
昨今の不安定な社会情勢、経済により、企業はただ利益をあげるだけでなく、社会貢献も求められるようになりました。
そこで、自社の存在意義を明確にするパーパス経営を重視する企業が増えているという背景があります。
企業側だけでなく顧客側でも、社会的な存在価値の高い企業を信頼する傾向が出てきています。
そのため、パーパス経営を取り入れる価値は比較的高いといえるでしょう。
パーパスドリブン
パーパスドリブンとは、自社のすべての物事がパーパスを起点としている状態を意味します。
昨今、商品をただ販売するだけでは顧客から関心を得るのが難しくなっています。
加えて、社会に貢献する姿勢を見られ始めているのが現状です。
特に近年ではSDGsの影響が強く、環境に配慮したパーパスドリブンが強く求められています。
パーパスブランディング
パーパスブランディングとは、パーパスを社会に幅広く認知させ、多くの共感を得るブランディングの手法のことです。
通常のブランディングが利益拡大を目的としていたのに対し、パーパスブランディングは社会性や存在意義を重視していることが特長です。
自社への関心を長期で持ってもらうことを目的としており、近年注目度が高まっている考え方の1つといえます。
パーパスステートメント
パーパスステートメントとは、パーパスを言語化してまとめた声明のことを指します。
社内外へアピールする際に必要不可欠なものになっており、早期に作成しておくことが重要です。
また、パーパスステートメントに関して、ただ掲げるだけでなく、作成後は実行に移して社内外へのアピールにつなげていきましょう。
パーパスを策定するメリット
パーパスを策定するメリットとして、以下の3つがあります。
- より良い意思決定が実現できる
- ステークホルダーへのアピールにつながる
- 従業員のロイヤリティや自律性を促せる
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
より良い意思決定が実現できる
パーパスを自社に浸透させると、企業活動においてより良い意思決定につながります。
自社にとってより良い判断ができるのはもちろん、判断するスピードが向上するでしょう。
その都度ベストな選択ができると、自社内の改革を進めやすくなります。
つまり、パーパスの策定で、企業のさらなる成長を促せるのです。
ステークホルダーへのアピールにつながる
パーパスに取り組んでいる企業は、「高い信頼性がある」というイメージを与えられます。
顧客はもちろん、株主や社内など、各ステークホルダーの共感を得やすくなるのがメリットです。
信頼してもらえるステークホルダーが増えると、自社の活動を支援してもらえやすくなります。
自社が三方良し、四方良しな活動となるよう、パーパスの策定をしっかりと行いましょう。
従業員のロイヤリティや自律性を促せる
策定したパーパスを掲げることで社員との一体感を築き、より自律性を促せます。
社員の自律性を促せると、自身の担当している業務を誇れるようになり、より高いモチベーションで働いてもらえるようになるでしょう。
モチベーションの高い社員が増えることで、イノベーションの創出、生産性の向上を期待できます。
自社の成長を促すためにも、社員が納得できるようなパーパスを策定しましょう。
パーパスを策定する際のポイント
パーパスを策定する際は、以下のポイントを押さえて策定しましょう。
- わかりやすい言葉を使っている
- 自社の企業活動に結びついている
- 各ステークホルダーのことを気遣っている
- 将来を見据えた内容になっている
- 社会的意義が込められている
社内外の人間に支援してもらいやすくなるよう、パーパスを策定する際の参考にしてみてください。
有名企業のパーパス事例3選
有名企業のパーパス事例として以下の3つをピックアップしました。
- ソニーグループ
- サイバーエージェント
- 富士通
各社の事例を知っておいて、自社のパーパス策定に役立てましょう。
ソニーグループ
ソニーグループは、パーパスの中で「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たすこと」を掲げています。
2018年7月から「ミッション・ビジョン・バリュー」を全面的に見直し、さらにブラッシュアップされたパーパスに仕上げました。
事業内容が多岐にわたっていることから、グループの意味を再定義するという観点で見つめ直したそうです。
このようにパーパスを一度決めた後は、会社のフェーズにあわせて定期的に見直してブラッシュアップしていくとよいでしょう。
サイバーエージェント
サイバーエージェントでは「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」というパーパスを掲げています。
年功序列などの古い考えを排除するという意味でも、上記のパーパスになっているそうです。
国内でも最大級の規模を誇る広告代理店でもある、サイバーエージェントならではのパーパスといえます。
自社の状況だけではなく、社会の現状や将来も汲み取ったパーパスを策定すると、より他者からの共感を得やすくなるでしょう。
富士通
富士通では「イノベーションによって社会に信頼をもたらし世界をより持続可能にしていくこと」をパーパスに掲げています。
国内だけではなく、世界でも活躍する富士通の考えに沿ったパーパスといえるでしょう。
「持続可能」というキーワードが入っており、近年注目されているSDGsの考えに寄り添っていることがうかがえます。
自社の利益だけではなく、社会全体をより良くしたいというメッセージが詰め込まれたパーパスです。
まとめ
パーパスを策定することで社内外へのアピールになり、生産性の向上やさらに安定した企業経営を実現できます。
策定時のポイントや他社の事例を参考にしながら、自社ならではのパーパスを作りましょう。
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