ブランド戦略を立案するには、まず自社の現状や課題、市場や競合など自社を取り巻く環境について分析が必要です。
効果的なブランド戦略を立案するには、前段階となる分析の質が重要であり、質を高めるにはフレームワークの活用がおすすめです。
本記事では、ブランド戦略とは何かをふまえ、ブランド戦略の立て方や活用できるフレームワークを解説します。
効果的なブランド戦略を立案し、ブランディングを成功させて自社のファンを増やしたい方は、参考にしてください。
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ブランド戦略とは消費者にとっての共通イメージを作ること
米国マーケティング協会によると、ブランドとは「製品やサービスの生産者や販売者の商品を識別する名称、記号、シンボル、デザインまたはそれらの組み合わせ」と定義されています。
つまりブランド戦略とは、消費者や取引先などのステークホルダーに「企業(ブランド)ならでは」の共通イメージを持ってもらうための方策と言えます。
ブランド戦略では「誰に向けてどういった価値を提供し、どう認知してもらうか」を設計し、マーケティング戦略とあわせて、一貫性のある取り組みを目指すことがポイントです。
参考:学校法人学習院 野村拓也 著「ブランド・マネジメント組織に関する研究の進展と課題」
ブランド戦略とブランディングとの違い
ブランディングとは、企業独自のブランドを確立・定着させ、その価値を向上・世間に浸透させるための施策・手法のことです。
ブランディングがブランド価値を向上・浸透させるプロセスであるのに対し、ブランド戦略はその方向性を定めたものです。
ブランディングを実施する前は、ブランド戦略を立案し、具体的な方向性や施策を定める必要があります。
関連記事:【わかりやすく】ブランディングとは?TwitterなどSNSに使えるブランディングの方法や使い方の基礎を徹底
ブランド戦略の立て方
ブランド戦略は、以下5つのステップで立てていきます。
1. 現状分析・課題抽出 2. ターゲティング 3. ポジショニング 4. ブランドアイデンティティの構築 5. ブランディング施策の策定 |
まずは自社の置かれている立ち位置や課題を割り出し、自社のサービス・プロダクトが誰に対して評価されるものなのかを明文化しましょう。
とくに、現状分析はブランディングの根底となるステップであるため、慎重に行うことが大切です。
自社の現状や課題が把握できたあとは、下記のようなポイントを検討していきます。
- 誰に対して自社を評価してもらうか
- 世間にどういった企業であると認知されたいのか
- 市場においてどういった立ち位置で事業を行うか
- 競合他社とはどう差別化するか
具体的な方針が決まったら次はブランドイメージを明確化し「ブランドアイデンティティ」を決定します。
その後、具体的なブランディングを実施するのが基本的な流れです。
戦略の立て方については、以下で詳しく解説しています。
関連記事:ファンマーケティング戦略の立て方を解説!役立つフレームワークも紹介
ブランド戦略の立案に役立つフレームワーク5選
ブランド戦略を立案する上で、市場調査やターゲティング、ポジショニングなどさまざまな分析が必要となります。
効果的なブランド戦略を立案するためにも、事実に基づいた細かい分析をすることが重要です。
ここでは、ブランド戦略の立案に役立つ5つのフレームワークをご紹介します。
- SWOT分析
- PEST分析
- 3C分析
- ポジショニングマップ
- カスタマージャーニーマップ
SWOT分析|内部環境と外部環境から自社の課題を分析する
SWOT分析は、企業・事業の現状分析や競合分析に活用できるフレームワークです。
以下4つの要素から、内部環境と外部環境のプラス要素・マイナス要素が分析できます。
- 強み(Strength)
- 弱み(Weakness)
- 機会(Opportunity)
- 脅威(Threat)
強みや機会のプラス要素、弱みや脅威のマイナス要素からは、以下のようなポイントを分析できます。
プラス要素(強み・機会) | ブランド戦略の方針、戦略目標 |
マイナス要素(弱み・脅威) | 自社の本質的な課題 |
SWOT分析をブランド戦略に役立てるには、クロスSWOT分析を活用しましょう。
4つの要素をかけ合わせて分析することで、ブランド戦略の大枠がみえてきます。
PEST分析|市場を取り巻く外部環境を分析する
PEST分析は、自社を取り巻く外部環境を分析できるフレームワークです。
市場分析の際に、以下4つの要素が及ぼす影響から自社の外部環境を分析できます。
政治(Politics) | 政治、税制、法律などの政治的環境要因 |
経済(Economy) | インフレ・デフレなどの経済的環境要因 |
社会(Society) | 人口や流行、人々の行動がもたらす社会的環境要因 |
技術(Technology) | 特許、技術革新などの技術的環境要因 |
PEST分析では、以下のようなポイントから今後のブランド戦略の方針が検討できるようになります。
- ブランド価値の見直し
- 潜在的なリスクの把握
- 新たなビジネスチャンスの発見
また、SWOT分析と組み合わせることで、強みを活かした戦略や弱みをカバーする方法も考えられるようになります。
企業の力で外部環境を変えることはできないため、分析した外部環境に自社の内部環境を柔軟に適応させることが重要です。
3C分析|自社の強み・弱みを客観的に分析する
3C分析は、自社の強み・弱みを客観的に分析できるフレームワークです。
市場調査や現状分析、競合分析やポジショニングのステップで活用できます。
3C分析では、以下3つの要素から分析していきます。
自社(Company) | 強み・弱み、現状 |
競合(Competitor) | 競合他社の特徴 |
顧客(Customer) | 市場の動向、顧客ニーズ |
分析の流れは「顧客・市場→競合→自社」の順番が基本です。
まずは自社以外の視点からみることで自社の現状が客観的に把握でき、誰に対してどんな価値を提供できるかのブランド戦略が検討しやすくなります。
ポジショニングマップ|自社のポジションを分析する
ポジショニングマップは、自社のポジションを確認する際に役立つフレームワークです。
「価格」「品質」「耐久性」など、商品やサービスの特長を示す横軸と縦軸で自社と競合他社のポジションを確認することで、自社の強みや差別化ポイントが洗い出せます。
ポジショニングマップを作成するにあたって、STP分析やKBF比較表が作成できると良いでしょう。
ポジショニングマップの作成後、ブランド戦略によって目指したいポジションへのリポジショニングを検討することで、ブランド戦略を立案しやすくなります。
カスタマージャーニーマップ|顧客のブランド体験を可視化する
カスタマージャーニーマップは、顧客のブランド体験を可視化するフレームワークです。
商品・サービスの認知から購入、利用、継続までのプロセスごとの顧客の心境や行動が包括的に俯瞰でき、ブランドアイデンティティの構築や施策の策定時に役立ちます。
カスタマージャーニーマップは、ペルソナごとに作成することがポイントです。
ターゲットに合わせたブランディングの検証やブランドのタッチポイントに合わせた施策の策定に活用できます。
コトラーの4つのブランド戦略
市場に新たな製品を展開する際のブランド戦略として、アメリカの経営学者コトラーが提唱する4タイプの戦略があります。
コトラーのブランド戦略では「製品カテゴリー」「ブランド」「既存」「新規」の4つの軸から、以下4つのブランド戦略を検討できます。
具体的な戦略 | |
ライン拡張 | 既存のブランド名で、既存の製品カテゴリーに新商品を展開 |
ブランド拡張 | 既存のブランド名で新規の製品カテゴリーに新商品や改良版を展開 |
マルチブランド | 既存の製品カテゴリーに新しいブランド名で展開 |
新ブランド | 新しいブランド名で新規の製品カテゴリーに新商品を展開 |
ブランド戦略の立案にはフレームワークを活用しよう
効果的なブランディングを実施するには、ブランド戦略の質が重要です。
ブランド戦略を立案する前段階では、市場や競合他社、自社の現状などあらゆる観点から分析を行います。
その際にフレームワークを活用することで現状を分析しやすくなり、ブランド戦略を立案するための効果的な素地となります。
ブランド戦略の目的は、顧客のファン化です。
ブランド戦略の立案後、ブランディングの効果を高めるにはブランドのファンづくりをサポートする「DISCO」の活用がおすすめです。
自社商品・サービスのファンを増やしたいという場合には、お気軽にご相談ください。