自社の成長には、CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上が必要不可欠です。
CX戦略は、顧客を深く理解し最適な施策を実行する際に効果的だからです。
ただし、CX戦略を立てる際は、プロセスを踏んで適切な施策を策定する必要があります。
本記事では、CX戦略の立て方をステップ別に解説します。
CX戦略が重視されている理由や成功事例も紹介しますので、CXを向上させて自社の成長につなげたい方は参考にしてください。
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CX(カスタマーエクスペリエンス)とは|購入から利用までの過程における体験価値の提供
CXは顧客体験価値とも呼ばれており、商品の「機能的価値」だけでなく、利用時やサービスを受けたときに得られる「情緒的価値」も含めた体験価値のことを意味します。
ブランド力向上や信頼獲得など、CXの向上により企業の成長につながるメリットを得られるため、CX戦略が注目されています。
CX戦略とはCX向上のために、顧客分析から施策を策定・実行することです。
顧客の維持には、情緒的価値を重視するマーケティング戦略の実践が求められています。
なお、UX(ユーザーエクスペリエンス)やCS(カスタマーサティスファクション)はCXと概念が異なるため、混同しないよう注意しましょう。
関連記事:顧客体験価値とは?得られる効果や必要な要素、向上方法をわかりやすく解説
CX戦略が重視されている理由
CX戦略が重視されている理由は、以下の通りです。
- デジタル化により顧客との接点が増えたため
- コモディティ化により他社との差別化が難しくなったため
- SNSやレビューの影響力が高まったため
ITの発達により、品質や機能面のみでは差別化が難しくなっています。
自社のファンを増やすためには、ワクワクや感動などを通じた顧客体験価値の向上が重要です。
顧客体験価値を高められるよう、顧客のニーズを把握・分析したうえで、CX向上を意識した戦略を練る必要があります。
CX戦略の立て方5ステップ
ここからは、CX戦略の立て方を5つのステップに分けて解説します。
- 現状を把握する
- 課題を整理する
- CX戦略の方向性を策定する
- 効果を検証するための指標を決める
- 検証と改善を繰り返す
ポイントを理解したうえで、CX戦略を立てましょう。
1.現状を把握する
まずは、VOC分析を活用して顧客からどのような評価を受けているか現状を把握します。
VOC分析とは、顧客の声を収集・分析してマーケティングに活かす手法のことです。
顧客の不満や要望だけでなく滞在ニーズを理解できる点が、VOC分析を活用するメリットといえます。
VOC分析の主な収集方法は、以下の通りです。
- コンタクトセンター
- SNSやレビューの投稿
- アンケート
- インタビュー
VOC分析から自社のイメージや愛着心を把握できるため、企業側と顧客側が抱く考え方や価値観のギャップが見えてきます。
2.課題を整理する
VOC分析から抽出した顧客のニーズや不満、改善点などのデータとカスタマージャーニーマップを照らし合わせて、課題を整理します。
カスタマージャーニーマップとは、顧客の購入検討段階から利用段階までのタッチポイントを、可視化できるよう図にしたものです。
例えば、食券販売機を導入している飲食店であれば、以下の課題を抽出できます。
- 食券購入までのストレスを軽減できないか
- 購入後、スムーズに商品を提供する方法はないか
- 注文したいメニューをすぐに見つけられるようボタンを工夫できないか
VOC分析とカスタマージャーニーマップを活用し、CXを向上させる課題を設定しましょう。
3.CX戦略の方向性を策定する
顧客分析と課題抽出からCX戦略を具体的に策定する際は、方向性がズレないよう「ユーザー中心設計」を活用するとよいでしょう。
ユーザー中心設計とは、顧客のニーズや要求を理解したうえで設計・開発を行うプロセスのことです。
CX向上には、顧客が使いやすく、かつ満足できるサービス設計が重要です。
例えば、iPhoneでお馴染みのAppleでは顧客が快適に操作できるよう、徐々にスマートフォンのサイズを大きくしてきました。
VOC分析やカスタマージャーニーマップをもとにした課題から、顧客にとって最適な体験ができるようUXデザインを取り入れた戦略の策定が重要です。
4.効果を検証するための指標を決める
方向性を策定し施策を検討したあとは、実践前に効果を検証するための指標を決めます。
課題に適したKPIを設定することでゴールまで可視化できるだけでなく、進捗管理や軌道修正を行えるようになります。
CXの計測指標例は、以下の通りです。
- NPS
- 顧客努力指標
- 必要度
- 感動指標
- CX指標
週次や月次など定期的なサイクルに加え、施策前後などのタイミングでもKPIを計測すると、より効果を検証できます。
また、一度に多くの施策を実施すると、効果の検証が難しくなってしまいます。
そのため、効果を検証できるよう施策は段階的に実行しましょう。
5.検証と改善を繰り返す
施策の実行後はKPIの測定値をもとに、検証と改善を繰り返してCX戦略に取り組みます。
CXは購入検討から利用までのあらゆる顧客体験が対象となるため、すぐに改善できるわけではありません。
以下の流れで、PDCAサイクルを回し続けて顧客が求めるCXを提供する必要があります。
- Plan(計画を立案)
- Do(計画の実行)
- Check(計画の検証)
- Action(検証をもとに対策や改善)
定期的な改善により、CX向上が期待できるでしょう。
CX戦略を立てる際の注意点
CX戦略を立てる際の注意点は、以下の通りです。
- 顧客情報を分けて管理せず一元化する
- チャネルを限定しないようにする
- コンタクトセンターの見直しを考慮する
CX戦略では顧客分析が重要になるため、顧客情報の量と質が大切です。
顧客と複数の接点を設ける仕組み作りが、CX戦略を展開するうえでのポイントといえます。
そのため多様なチャネルに対応できるよう、ECサイトや実店舗など、あらゆるチャネルを活用して顧客と接点を持つ、オムニチャネル戦略の推進が欠かせません。
また、コンタクトセンターは顧客と企業をつなぐ窓口です。
コンタクトセンターの対応が悪ければCX低下につながる可能性があるため、応対品質の向上を検討する必要があります。
戦略の取り組みによりCX向上につなげた企業の成功事例
戦略によりCX向上につなげた企業の成功事例を2つ紹介します。
- 株式会社サイゼリヤ|顧客に寄り添ったサービスの提供により顧客体験価値を創出
- スターバックスコーヒージャパン株式会社|ユーザー中心設計によりCX向上に成功
CX戦略を立てる参考として、見ていきましょう。
株式会社サイゼリヤ|顧客に寄り添ったサービスの提供により顧客体験価値を創出
イタリアンワイン&カフェレストランの「サイゼリヤ」は、CX戦略により「顧客体験価値(CX)ランキングTM 2023」で2位を獲得しました。
サイゼリヤがCXを向上させた理由のひとつは、顧客に寄り添ったサービス提供をしているためです。
サイゼリヤは「お客様がびっくりするぐらい喜んでもらえる価格」をポリシーに掲げており、どのようにすれば注文しやすい価格に設定できるかを常に検討しています。
物価高ながらも値上げしないという企業姿勢により、顧客体験価値を創出し、CX向上につなげた成功事例です。
参考記事:株式会社インターブランドジャパン|顧客体験価値(CX)ランキングTM2023
スターバックスコーヒージャパン株式会社|ユーザー中心設計によりCX向上に成功
居心地の良い空間をモットーにしているコーヒーチェーン店「スターバックス」は、ユーザー中心設計を重視しています。
「アメリカの店舗にはWi-Fiがあるのに、日本にはないのか」という顧客の声に耳を傾け、スターバックスは店内の通信環境を整えました。
また、Wi-Fiが使いやすくなるようワンタップ認証サービスを提供し、店舗改善を図っています。
作業スペースや待ち合わせ、ミーティングなど、幅広い顧客のニーズに沿った店舗設計によりCX向上に成功した事例です。
CX戦略を立てて自社の成長につなげよう
機能的価値の差別化が難しくなっている現代では、情緒的価値の提供を重視したCX戦略が注目を集めています。
CX戦略では顧客分析が重要なため、プロセスを踏んで適切な施策を策定する必要があります。
CX向上施策には、顧客と接点を持てるファンコミュニティの運営がおすすめです。
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