近年では、オンラインコミュニティで共創をはかる企業が増加傾向にあるため、検討している企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、企業がオンラインコミュニティで共創を実施するメリットや事例、成功に導くコツについて解説します。
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企業において共創が求められる背景
そもそも共創とは、企業がステークホルダーとコミュニケーションを取り、商品開発に意見を反映したり、協業して新たなビジネスをしたりすることです。
企業の共創には、以下のような目的があります。
- LVT(顧客生涯価値)を高める
- 消費者ニーズを汲み取る
- 自社で不足している資源や技術を補完する
近年では、マーケットが成熟し目新しいものを生み出すことが難しい状況です。
さらに流行りが変わるスピードも速いため、競合会社との顧客の取り合いが激化しているといえるでしょう。
そのため企業は、共創で他企業と新しい価値を生み出したり、企画段階から消費者を巻き込んだりすることが求められているのです。
企業がオンラインコミュニティで共創をはかる3つの理由
企業がオンラインコミュニティで共創をはかる理由は、以下の3つがあげられます。
- 顧客の本音を知るため
- 新たな価値や相乗効果を生み出すため
- コアなファンを作るため
それぞれについて詳しく解説します。
1. 顧客の本音を知るため
企業がオンラインコミュニティを活用して共創をはかる理由は、費用をなるべくかけずに顧客の意見をより多く集められるためです。
近年では「ポイ活」が流行っており、報酬目的でインタビューに参加する顧客も増えていますが、ターゲティングも回答の精度も正確さに欠けます。
しかし、マーケティングリサーチに依頼するのは、費用が嵩むため敬遠する企業も多いでしょう。
一方で、オンラインコミュニティで共創をはかれば、企業に協力的なファンからのコメントを集められます。
既にファンである顧客が集まりやすいため、ターゲティングの精度も高まり、本音も引き出しやすいでしょう。
ただし、新規顧客や見込み客はファンマーケティングに参加しにくいため、新たな顧客獲得に向けたマーケティングリサーチには向きません。
2. 新たな価値や相乗効果を生み出すため
企業は新たな価値を生み出したり、ステークホルダーと協業して相乗効果を生み出したりするために、オンラインコミュニティでの共創をはかります。
たとえばサッポロビール株式会社では、Facebook上で顧客とのオンラインコミュニティを形成し、新しいビールの商品開発の参考にしました。
日本では、ピルスナーと呼ばれる種類のビールが一般的ですが、顧客が求めるビールを知り、ニーズに合ったビールを開発することが目的です。
結果、新しいビールの開発はもちろん、顧客も商品開発に参加したことでサッポロビールへの愛着も深まったでしょう。
3. コアなファンを作るため
企業がオンラインコミュニティで共創をはかる理由は、コアなファンを作るためでもあります。
また、パートナー企業との関係性を深めるために共創をはかるケースもあるでしょう。
コアなファンとは、いわゆる熱狂的な顧客、自社に愛着を持っている顧客を意味します。
コアなファンを作るためには、企業から顧客に一方的に情報を発信するだけでは不十分です。
ファン同士でコミュニケーションを取り、共感し合い、仲間の1人である認識を持ってもらう必要があるのです。
関連記事:オンラインコミュニティとは?種類や作り方、成功事例について紹介
オンラインコミュニティで共創を活用する3つのメリット
オンラインコミュニティで共創を活用することには3つのメリットがあります。
- 顧客の意見が回収・共有しやすい
- 運営者と顧客で議論しやすい
- 迅速に文化反映を浸透させやすい
顧客の意見が回収・共有しやすい
オンラインコミュニティでは、顧客の意見が回収・共有しやすいことがメリットです。
なぜなら、チャット機能を持たせれば、顧客が自由に意見を書き込めるためです。
意見を書き込むことでコミュニケーションが活発化し、顧客同士の交流や新たなアイデアが生まれる可能性があります。
他にも、オンライン上でアンケートを実施することで、人数が多い場合でも容易に顧客の意見を回収することが可能です。
顧客の意見をコミュニティ形成に役立てれば、より顧客のLVTが高められるでしょう。
運営者と顧客で議論しやすい
オンラインコミュニティでは、運営者と顧客で議論しやすい点もメリットです。
オンラインコミュニティでは、1対1での会話や小規模ルームに切り分けられ、運営者からの問いかけに対して反応されやすいシチュエーションが作れます。
さらに、チャットで議論された内容は、すでに言語化されているためポイントがまとめやすく、後にコミュニティの文化として浸透させやすい点もメリットです。
運用者と議論して決定した事項に関して、コミュニティが目指すゴールへの意識が高まるでしょう。
迅速に文化反映を浸透させやすい
オンラインコミュニティの共創では、迅速に文化反映を浸透させやすいこともメリットです。
共創行動が生まれやすいコミュニティを作るためには、コミュニティのゴールを明確に設定することが重要です。
そして、コミュニティのゴール設計から文化形成までの基盤形成を、運営者が主体となって顧客を導くことが求められます。
とくに、コミュニティ設立の段階では実行までのスピードが重要です。
運営者が主体で動くことで素早く意思決定と実行の判断ができ、顧客の意欲が高いうちに文化反映を浸透できるのです。
オンラインコミュニティでの共創取り組み事例5選
オンラインコミュニティで共創が行われた事例を紹介します。
- 1. クラブツーリズム×KDDI|クラブツーリズムパス
- 2. デジタル改革共創プラットフォーム
- 3. サッポロビール株式会社|百人のキセキ
- 4. 絆のコミュニティ|one×oneコラボ
- 5. LEGO IDEAS
1. クラブツーリズム×KDDI|クラブツーリズムPASS
クラブツーリズムPASSとは、クラブツーリズム株式会社とKDDI株式会社との共創で作られたサブスクリプションサービスです。
クラブツーリズムのインターネット会員やauユーザーが入会できます。
会員になることで、クラブツーリズムの旅行の割引や、会員だけが申し込めるツアーへの参加が可能です。
さらに、趣味に関するオンライン講座や、旅のガイドブックが見放題などのサービスもあります。
旅行会社の利用が縮小する状況で、KDDIの巨大な通信インフラを活用し、旅や趣味での人との出会いを作り出すことを目的としています。
参考:クラブツーリズムPASS
2. デジタル改革共創プラットフォーム
デジタル改革共創プラットフォームとは、共創PFとも呼ばれ、自治体職員と政府機関の職員が直接コミュニケーションが取れるプラットフォームです。
コミュニケーションには、ビジネスチャットツール「Slack」を使います。
同業である自治体職員と政府機関職員で意見交換し、悩みを解決したり、新たなアイデアを生み出したりすることを目的としています。
2023年8月の時点で参加者は約5,700人以上です。
地方職員と国の職員が密にコミュニケーションを取ることで、親密度が高められ、業務改善や効率化につながっています。
3. サッポロビール株式会社|百人のキセキ
百人のキセキは、サッポロビール株式会社が1万人以上の消費者と実施したプロジェクトです。
消費者と一緒に新しいビールを開発することが目的です。
プロジェクトはFacebook上の「百人ビール・ラボ」で実施され、さまざまな消費者の意見から味やネーミングなどを検討し、完成したビールは全国の主要なコンビニエンスストアで販売されました。
まだソーシャルメディアでのマーケティングが主流ではない2013年の時点でコミュニティを開設し、ファン参加型で企画開発されたビールは話題を呼び、第二弾、第三弾と継続しました。
4. 絆のコミュニティ|one×oneコラボ
one×oneコラボとは、クオン株式会社が運営する絆のコミュニティで実施されているプロジェクトです。
企業と団体、自治体をつなげることを目的としており、さまざまなテーマに沿って企業同士がコラボしています。
たとえば、株式会社大丸松坂屋百貨店と三菱地所レジデンス株式会社や、SIXPADと富国生命保険相互会社がコラボしています。
テーマに関する質問にコメントすると抽選でプレゼントがもらえる仕組みで、多くのコメントを集めて顧客のニーズを引き出す工夫がされている点が特徴です。
5. LEGO IDEAS
LEGO IDEASは、玩具メーカーのLEGOが運営しているオンラインコミュニティサイトです。
消費者がLEGOで作った作品を投稿し、一定の評価を得ると商品化が検討されます。
サイト内では、作品に対して消費者同士でレビューし合うことも可能で、消費者同士で制作意欲を掻き立てています。
LEGO IDEASの運営でコアなファンとのつながりが強まり、作品を見た消費者も新たにファンとなることで売上が伸びたのです。
参考:LEGO IDEAS
オンラインコミュニティでの共創を成功に導くコツ
オンラインコミュニティでの共創は、コミュニティを設立しただけでは十分に機能しません。
共創が生まれやすい環境を整えることが重要です。
ここでは成功に導くコツを解説します。
- 顧客の自発的な行動を促す仕掛けを作る
- 顧客の行動や活動をシェアできる場を作る
顧客の自発的な行動を促す仕掛けを作る
オンラインコミュニティで共創を生み出すためには、顧客に自発的な行動を促す仕掛けが重要です。
なぜなら顧客同士の交流が活発に働くことで、本音や新たなアイデアが引き出せるためです。
そのため、顧客にはコミュニティが自分の居場所であり、企業も他の顧客と仲間である意識を持ってもらう必要があります。
自発的な行動を促すためには、たとえばプレゼントのような特典をつけたり、自分の意見が商品化されるような特別感を持たせたりすることが有効です。
関連記事:オンラインコミュニティの作り方|各工程でのチェックポイントも解説
顧客の行動や活動をシェアできる場を作る
オンラインコミュニティでは、活動内容をシェアできる場を作ることが重要です。
誰でも気軽に発言できるオープンな環境を作ることで、顧客の参加意識が芽生えます。
さらに、シェアした内容に対して多くの人から共感や応援などの前向きな反応を得ることで、コミュニケーションの熱量が高まり、顧客同士のつながりも強まるでしょう。
顧客1人ひとりが投稿し、反応し合うことでより強固なコミュニティが形成され、共創が生まれやすくなるのです。
関連記事:ファンマーケティングの新プラットフォーム「DISCO」販売開始
まとめ
企業がオンラインコミュニティで共創をはかる理由は、企業が顧客の本音を引き出し、顧客や他企業と協力して新たな価値を生み出すためです。
成熟したマーケットで新たな価値を見出し、顧客を獲得して売上を伸ばすために、顧客や他企業を巻き込んだビジネスを検討している企業も増加しています。
成功事例やオンラインコミュニティで共創を生み出すポイントを参考に、新たなビジネスに挑戦してみましょう。